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40歳で第一子


およそ3年間の不妊治療を経て、私は40歳で第一子を出産しました。
不妊治療の技術は日々進歩していて、そのおかげでこんな私でもなんとか無事に妊娠、出産をすることが出来ました。
でも今は『もっと早くああしていれば良かった、こうしておけば良かった』と後悔している事がたくさんあります。
今回は、不妊治療から出産するまでの経緯をまとめ、今治療中の方やこれから不妊治療に踏み出そうとしている方々に、私の経験や後悔を役立てていただければと思い筆をとりました。

のん気に構えていて何年もムダに

私たち夫婦は、結婚してから10年以上経っても子どもに恵まれませんでした。
結婚した当初は経済的な不安から避妊をしていましたが、結婚3年目くらいからそろそろと思い、子作りに励んでいましたが、一向に授かる気配はありませんでした。
それでも『他のみんなも普通に妊娠してるし、夫婦揃って特に悪いところもなく健康なんだから、そのうち自然に授かるだろう』と特に焦ることもなく過ごしていました。
そんな時たまたまテレビで、長年不妊治療をしても授からずにいるご夫婦の特集を観たのです。
そのご夫婦は、不妊治療を続けていくにあたり経済的な負担はものすごく大きいものの、それでもあきらめることは出来ないと、出口の見えないトンネルの中をさまよっているような苦しい胸の内を語っていました。
それを見て思わず私は『こんな苦しい思いは絶対にしたくない!うちはお金もないし不妊治療なんて絶対に無理!こんな辛い思いをするくらいなら子どもなんていらない』と思ってしまったのです。
今思うと、これが最初の間違いでした。
人間誰でも辛いことから目を背けたくなるものです。
私は自分の置かれている現実に向き合う勇気が持てず、それから数年間に渡って主人とも子作りについて話し合うことすらしませんでした。
この時にもっと積極的に行動していたら、もしかしたらもっと早く母親になれたかもしれませんし、年齢が若い分だけ治療にかかる費用を抑えられたかもしれません。

他人の妊娠報告にイライラ

しばらくの間仕事が忙しくなり、それなりに子どものいない自由な生活が楽しかったのもあって、子作りは半分あきらめモードになっていました。
それでも同年代の友人たちが次々と出産していくのを見て、次第にあせりは募っていきました。
そのうち他人の妊娠を全く喜べないようになり、芸能人の妊娠報告を聞いたり、街中で妊婦さんを見かけるたびにイライラしていました。
仲のいい友人にすら心からおめでとうと言ってあげられず、忙しさを理由に友人の赤ちゃんに会いに行くのを避けるようになってしまったんです。
そういう風にしか思えない自分も嫌いで、すさんだ気持ちになっていました。
そんな時、小学生の姪が私のお腹を触ってこう言ったのです。
『おばちゃんのお腹の中に赤ちゃん入ってないの?早くいとこが欲しいなぁ』
純粋な姪の言葉が私の胸にグサリと刺さりました。
『やっぱりこのままじゃいけない。そろそろ行動に移さなきゃ』
私は不妊の原因を突き止めるため、主人と一緒に病院に行き検査をすることにしました。

不妊の原因は主人にあった

私は卵管造影や血液によるホルモン値の検査などを行い、主人は精液検査を行いました。
私の検査の結果は、子宮筋腫が3〜4個あるため妊娠したら大きくならないように注意深く観察していく必要はあるが、受精卵が着床する場所にある訳ではないので、妊娠自体に問題はないというものでした。
一方主人の検査の結果は、精子の運動率が通常よりも低いという診断をされたのです。
正常な男性の精子の運動率は40%以上ですが、主人の場合は28%でした。
一度だけの検査では、たまたま体調が悪かっただけかもしれないので判断出来ないと言われ、計3回検査を受けました。
しかし結局25〜35%といった数値しか出ず、精子無力症と診断されました。
精子無力症は、高熱などが原因になる場合もありますが、生活習慣の乱れによるものが多いそうです。
主人は普段から仕事が忙しく、食事も高カロリーなものが大好きなため、ちょっと太り気味でした。
飲酒はそれほど多くはありませんが、1日一箱ペースでタバコを吸うのも精子の働きを悪くしているようでした。
しかしそうした検査結果を突きつけられても、主人はあまり気にする様子もなく、生活習慣の改善をしようとはしませんでした。
私もこういうことはデリケートな問題なので、あまり無理強いしても良くないのではないかと思い、そっとしておくことにしました。
今考えると、この時の判断も間違いでした。
お互いに問題から目を背け、夫婦できちんと話し合いをしなかったのは良くありませんでした。
それからしばらくの間、何もせずに時間だけが過ぎていきました。

踏み出す勇気をくれた医師との出会い

検査を受けてからあっと言う間に数年が経っていました。
このままではいけないとわかっていても、頭の中にある先入観が邪魔をして、不妊治療を始める勇気が持てなかったのです。
それでも30代後半になり、妊娠できるタイムリミットが近づいているのも自覚していました。
そんな時、自宅の近所にある小さな婦人科で不妊治療を行っていることを知り、セカンドオピニオンのつもりで行ってみることにしたのです。
そこは年老いた男性の先生が自宅で開業しているレディースクリニックでした。
夫婦で一緒に検査を受けたところ、やはり主人の精子に異常が見られました。
先生からは『これくらいの数値なら体外受精をやればすぐ妊娠できると思うけど、費用もかかるしとりあえず人工授精からやってみようか』と提案されました。
人工授精の費用は1回1万3千円、意外にも他の病院より安く『このくらいなら払えそう』と思えました。
先生からの『すぐ妊娠できる』という前向きな言葉が私の背中を押してくれました。
人工授精をするには、まず生理の3日目になったら病院に行き、卵胞を育てる薬を5日間飲みます。
飲み終わったらまた病院に行き、HMG注射を排卵日の直前まで数回に渡って打ちます。
卵胞が20ミリ近くまで大きくなったら、先生から『AIHをするから明日の朝8時半に精子持ってきて』と言われ、HCG注射をして36時間以内に排卵を起こすようにします。
翌朝主人に自宅で精液を採取してもらい、それを試験管に入れてティッシュでくるみ、冷やさないように腹巻きの中に入れて病院に持参します。
病院では、より濃度の高い精液を作るため30分ほど遠心分離器にかけます。
それからチューブで子宮の中に注入するのですが、特に痛みはありませんでした。
その後黄体ホルモンを増やす注射をして、治療は終わりです。
人工受精は自然妊娠に近いので『これで妊娠出来るなら簡単かも』と思いました。
仕事を調整しながら通院するのは確かに大変でしたが、私が今まで思い込んでいた辛くて苦しい不妊治療のイメージが大きく変わったのです。
しかも排卵の周期に合わせて、診療時間以外や休みの日でも先生が注射や診療をしてくれるので、その熱意が伝わって治療を頑張ることが出来ました。
ここまで熱心なお医者さんには今まで出会ったことがなかったので『私は絶対この病院で妊娠したい!』と思っていました。
一方で現実はそう簡単にはいかなかったのです。

いつまで経っても妊娠出来ず

人工授精をしている間は基礎体温を毎日つけていましたが、生理予定日が近づくとガクッと下がるのです。
イヤな予感がしてトイレに行くと、生理が来てしまいました。
期待していただけにショックは大きなものでした。
それでも次こそはと人工授精を繰り返し行いました。
しかし5回を過ぎても全く妊娠することが出来ず、先生からは『あと1〜2回やっても出来ないなら体外受精をしましょう』と言われました。
それから粘ることさらに5回、結局計10回行いましたが妊娠には至らず、体外受精をすることになりました。

いよいよ体外受精にステップアップ

この病院で行える体外受精はごくシンプルなもので、1度に卵胞を育てる数はせいぜい2〜3個で、採卵した後に精子を振りかけて培養しながら自然に受精するのを待つというものでした。
その分だけ費用も1回10万円と、他の病院に比べてだいぶ安かったのでとても助かりました。
採卵は卵巣に針を刺し卵胞を吸い出します。
軽く痛み止めの麻酔は打ちますが、お腹の奥に生理痛の重い時のような痛みが走り、かなり苦しかったです。
その数日後病院に行くと、培養していた受精卵の質があまり良くないため、使用出来ないと言われました。
受精卵の周りにゴミのようなものがついていてキレイな状態ではなく、仮に子宮に入れたとしてもきちんと育つ可能性は低いという説明でした。
あれだけ辛い思いをしたにもかかわらず結果があっけなく出てしまい、すぐには気持ちの整理をつけることが出来ませんでした。
それでも次こそはと思い、再び採卵に臨みました。
しかしやはり受精卵の質があまり良くなく、子宮には戻せないと言われてしまいました。
そして先生からとてもショックな宣告をされたのです。
『これ以上うちの病院で治療を続けることは時間の無駄だから、もっと最新設備の整った別の病院を紹介します』
ついに信頼していた先生に見放されたのです。
先生がいるこの病院で妊娠したいと思っていたのに。
本当に目の前が真っ暗になった気持ちでした。

最新技術のある不妊治療専門病院へ

先生から紹介されたのは、県外からも患者が殺到する人気の病院でした。
完全予約制にもかかわらず待ち時間は平均4時間。
医師やスタッフが何人もいて、あまりゆっくり相談できる雰囲気はなく、機械的に患者をさばいている感じでした。
治療費も体外受精1回につき60万円以上と一気に高額になりました。
しかし私たち夫婦には、もはやこの病院に頼るしか選択肢はありません。
高額な治療費をなんとか捻出し、治療に踏み切ることにしました。

ドキドキの自己注射

この病院はとにかく患者が多いため、出来るだけ通院する回数を減らすための取り組みが徹底していました。
卵胞を育てるための注射も、『病院ではなく自宅で自分で行って下さい』と言われ、大量の注射器を渡されました。
看護師でもない私が自分で注射なんて絶対に無理だと思っていましたが、恐る恐るやってみるとなんとか出来ました。
毎日朝晩2回打たなくてはならなかったので覚悟を決めたら、不思議なことに2日で慣れました。

いよいよ3度目の体外受精へ

以前の病院ではせいぜい2〜3個の卵胞しか育てませんでしたが、今回はできるだけ多く卵胞を育てて、平均6個以上の採卵できるのが望ましいといわれました。
採卵は卵巣に何度も針を刺し、やはりかなりの苦痛でしたが、合計10個以上吸い出すことができました。
しかしその後、ほとんどが空砲だったことがわかり、受精卵に使えるのはたった4個しかありませんでした。
ホルモン剤が合わなかったり年齢的な要因があると空砲が多くなってしまうようです。
それでもなんとか育ってくれた4個に望みを託すしかありません。
より成功率を上げるため、4個のうちの2個に精子を振りかけて自然に受精するのを待つ体外受精を行い、残りの2個の卵子に針を刺し精子を注入する顕微授精をすることになりました。
その後、着床率を上げるために胚盤胞という段階に受精卵が成長するまで培養しました。
この段階で生命力がないと、胚盤胞になる前に死んでしまうことが多いらしく、だいたい半分はダメになると言われたので本当にドキドキでした。
数日後4個のうち3個に成長が止まったり異常があったりして、正常に育ったのは1個だけでした。
生き残ったのは、たったの1個。
その受精卵もなんだか弱々しく見えました。
しかもその時点で、私の卵巣は採卵の時にたくさん針を刺したため、大きく腫れ上がっていたのです。
すぐに子宮に戻すことが出来ないため、腫れが治るまで受精卵は凍結されることになってしまいました。

たった1つに望みを託す

子宮の環境を整えるために受精卵を2ヶ月間凍結しました。
その間病院の前を通るたびに、まだ産まれてもいないのに託児所に子どもを預けているような不思議な感覚があり、『早く迎えに来るからね!』とつぶやいていました。
2ヶ月後、解凍した受精卵は無事に生きていることが確認され、私の子宮に移植されました。
『待ってたよ!早く帰っておいで!』
そんな気持ちでした。
それからは受精卵が落っこちないように出来る限り安静に過ごしていました。
あと出来るのは神社に行って神頼みをするくらいしかありませんでした。
どうかどうか妊娠しますように!
願いはそれだけでした。

緊張の判定日

血液検査でHCGの値が100以上になれば陽性と判断するということで、検査結果を祈るような気持ちで待ちました。
結果は124。
無事に陽性判定をいただきました。
普段は全く愛想のない医師から『良かったですね』と微笑まれた時、これまでの緊張感が一気にほぐれ、涙が溢れてきました。
病院を出て早速主人に電話をすると、ものすごいテンションで喜んでいました。
こうして、人工受精を10回、体外受精を3回、およそ3年に渡る不妊治療が終わりました。
かかった費用は、1つ目の病院で30万円、次の病院で90万円、合計で120万円ほどでした。
不妊治療をする多くの人が300万円以上支払っているというデータがある中で、比較的安く済むことが出来ましたが、貧乏な我が家にとってはやはり大金でした。
もっと早く若いうちに取り組んでいたら、もっと安く済んだかもしれませんよね。

振り返って後悔していること

『不妊治療はお金がかかって辛いだけのもの』
確かにそういう面は大きかったですが、あまりに先入観にとらわれ過ぎて、現実から逃げてしまったことは非常に後悔しています。
実際に不妊治療をやってみたら案外思っていたよりも痛くはなかったし、夫婦で協力して頑張れば何とか乗り越えられるものでした。
無事に授かったから言えることなのかもしれませんが、いずれ不妊治療をすることになるなら、1日でも早く始めた方が良いことは事実です。
私のように何年も放っておけば、その分だけ確実に年齢を重ねることになるので、妊娠率も下がってしまいます。
そして産まれてくる子どもにとっても、親が少しでも若くて、一緒にいられる時間が長い方が絶対に良いですよね。
私は40歳で産んだので、人生が80年とするとあと40年しか子どもと一緒にいられません。
頭では分かっていたはずなのに、子どもが産まれてみると改めて「申し訳ない」という思いが強くなりました。
ダラダラと迷っていた私が言える立場ではないかもしれませんが、不妊治療を始めようか迷っている人がいたら、まずは行動に起こしてみることをおすすめしたいと思います。
早く行動して精一杯取り組んだとしたら、どんな結果になろうとも後悔せずに済むのではないでしょうか。

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