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体外受精に至るまでの長い道のり


私は、高校を卒業してからずっと工場で交代制の仕事をしていました。
毎日、不規則な生活で、体力的には大変でしたが、8年間ずっと同じ職場で働いていました。
そして30歳になった時に、結婚しました。
周りには、30過ぎても独身の友達もまだ何人か居たので、そんなに「子供がすぐにほしい」という訳ではありませんでした。
しかし、年齢的に若くはないので、「流れに任せて、そのうち子供ができたらいいな」という程度に思っていました。
1年ほど経ち、特に避妊をしている訳でもないのに、なかなか妊娠しないので、一度産婦人科に行って検査してもらう事にしました。
私は、もともと生理不順があったのですが、規則的ではなかったものの、生理はきちんときていたので、そこまで、心配はしていませんでした。
しかし、検査の結果、多嚢胞性卵巣症候群どいう事がわかったのです。
排卵障害で、生理があっても排卵していない場合もある、といわれ戸惑いました。
しかし、多嚢胞性卵巣症候群というのは、そんなに珍しい病気ではなく、「きちんとした治療を受ければ、妊娠できる可能性も十分にある」と先生にも言われ、その時はそこまで深刻には悩みませんでした。
病院からは「クロミッド」という排卵誘発剤を処方してもらい、4日間服薬した後に排卵が起こっているかどうか病院で検査をしてもらい、先生の指定した日に性交渉をする、というタイミング法での不妊治療が始まりました。

当然、妊娠のために夫婦生活を持たなければいけないのでしが、先生の指定した日に必ず夫婦生活をしなければいけない、というのが、私にはとてもプレッシャーでした。
しかも、自分が交代の仕事をしていたので、夫との生活リズムも違うため、時間を合わせるのも大変でした。

以前は、思った事もなかったのに、だんだんコミュニケーションとしての、夫婦生活が「義務的」なものになっていって、上手くいかない時はイライラしてしまったり、精神的にストレスを感じる事もありました。

半年たっても思うように妊娠まで至らないので、先生から、「他に原因があるかもしれない」と言われ、卵菅造影検査を進められました。この検査で卵菅が通りやすくなって妊娠しやすくなる事もあると言われたので、期待しながら受ける事にしました。
検査は10分ほど。仰向けになって下から造影剤を入れていきます。しばらくすると生理通に似た激痛が走りました。私が痛そうにしていると、先生が「もしかしたら卵菅が詰まっているかもしれないね」と言われました。
実際、検査の結果、右側の卵菅が詰まっている事がわかりました。原因はわからないと言われ、手術をするしか右側の卵菅を正常に戻す方法はないと言われショックでした。
左側の卵菅は正常だったので、妊娠の可能性がまったくない訳ではありませんが、それでも、片方の卵菅が使えないという事は、妊娠する可能性は普通の人の半分の可能性しかない、という事になるので、とても落ち込みました。
先生には、念のため、フーナーテストも進められました。
性交渉の後、精子が膣のなかで正常に動いているか検査をするのです。
先生のいう通り、病院に行く前日の夜に性交渉をし、次の日の午前中に病院に行って検査を受けました。
結果は「異常なし」でした。
この結果はうれしかったのですが、同時に、「夫には何の原因もないのに、私のせいで子供ができない」という事がさらに明らかになったという事でもあり、正直複雑でした。

夫に対して、「申し訳ない」という後ろめたい気持ちが大きくなりました。

夫は私を責めることはなく「ゆっくり頑張っていこう」と言ってくれましたが、私は精神的にとても落ち込んでしまい、治療を前向きに頑張って行こうという気持ちが持てなくなっていました。
ここまで、気持ちが落ち込んだのは、体力的にも限界がきていたからです。
フルタイムでの交代制の仕事と家事の両立は、ただでさえ大変なのに、それに不妊治療での病院通いも加わって、精神的にも体力的にも疲れ果ててしまったのです。

夫からは「仕事を辞めたら?」と進められましたが、なかなか踏ん切りがつきませんでした。
頑張って続けてきた仕事、それなりの役職も付いていましたし、仕事にやりがいも感じていました。
仕事を辞めて、それで子供ができるのならいいけど、もしできなかったら・・
子供もいない、仕事もない・・何もない人生になってしまう・・

そうなってしまったらどうしよう・・そんな思いあり、なかなか仕事を辞める事ができなかったのです。

しかし、気がつけば33歳・・「もう悩んでいる時間はない」と思い、思い切って仕事を辞める事にしました。
不妊治療に専念する事にしたのです。

いろいろ悩んだけど、前の仕事を辞めたのは良かったと思います。
おかげで、時間にも、気持ちにも余裕ができて、イライラする事がなくなりました。
自由な時間が増えた分、不妊治療の事で悩む事も多くなりましたが、あまり悩みすぎないようになるべく外に出て気分転換をするようにしました。

タイミング方での不妊治療を始めてもうすぐ2年が立とうとしている時、先生から「そろそろ体外受精を考えてみては?」と言われるようになりました。

不妊治療を始めた時から、頭の片隅に「体外受精」という言葉はありましたが、実際に自分達が治療を開始するのは、なかなか踏ん切りがつきませんでした。

一回の体外受精で妊娠する確率は20%ほど。一回に治療費は30万以上します。
もし、これだけお金と時間をかけて妊娠できなかったら、自分はもう立ち直れないかもしれない・・その時はどうしよう・・

「妊娠できる」という思いよりも「妊娠できなかったら」の気持ちの方が強くなっていました。

先生から体外受精の話がでたのは10月頃でした。いろいろ悩んで、夫とも何度も話し合いをして、今年、妊娠できなかったら、来年から体外受精をしよう、という事になりました。

その年はタイミング法で不妊治療を続けていましたが、結局妊娠はできず。

34歳から体外受精での不妊治療を始める事にしました。
体外受精は自分が想像していたよりもずっとずっと大変でした。

まず、排卵誘発剤の注射や、卵胞や血液の検査をするのに病院に3~4回ほど通います。
そしてそれからやっと、採卵なのですが、これがもう・・今思い出しても、震えるほど痛いのです。
太い針で卵胞を吸い取るのですが、麻酔がきいているのは表面だけで、中は麻酔はきいていません。
一回刺すたびに激痛が走り、涙が止まりませんでした。
採卵が終わったあとは、痛みでしばらく動けませんでした。
採卵後、卵子と精子を受精させ、受精卵の成熟を待ちます。その後、成熟してから、受精卵を子宮に戻します。

それから、約14日後に妊娠判定があるのですが、それまでは、いつも祈るような気持ちでした。
妊娠判定の当日、ドキドキしながら病院へ。
結果は・・妊娠には至りませんでした。

とてもショックでした。先生から始めに結果を聞かされ、泣きそうになるのを必死にこらえていました。その時の先生の話はあまり覚えていません。

残念な結果を夫に報告すると、「まだ一度目だから、次頑張ろう」と言ってくれました。
悩んでいても仕方ないし、頑張ろう!そう前向きに考えるようにして、妊娠に向けていろいろ頑張りました。

規則正しい生活をして、食生活も体に良いものを食べるようにしていました。
この頃、妊活に良いというサプリに凝っていた私。
ネットで口コミの良いサプリを何種類も飲んでいて、サプリ代で一ヶ月に1万ほど使っていました。今思えば高い買い物ですが、この頃は金銭感覚が少しずれていました。
体外受精で、私の場合、一回で38万ほどかかっていましたから、体外受精の費用に比べたら、サプリ代なんて安いもんだ、とよくわからない考え方になっていました。
毎日、毎日、妊娠の事ばかり考えていた私は、だんだん心が病んでいきました。
「もし、妊娠できなかったらどうしよう」「こんなに頑張っているのに何で?」そんな事ばかり考えて、街中で子供連れの家族を見るのも辛くなっていきました。

夫は変わらず、私を支えてくれていましたが、子供のいる友達を避けたり、親戚の集まりにも行かなくなった私に対して、「そんなに落ち込まなくてもいいだろう」という言葉を言ってくる事もありました。

「私の気持ちは誰もわかってくれない」とだんだん自分の殻に閉じこもるようになっていきました。

その後、体外受精を合計で3回試みましたが、結局妊娠には至りませんでした。

この頃の私は「もう不妊治療を辞めたい、でも今辞めたら、今までの努力が無駄になってしまう」という気持ちが強くなっていました。

「子供がほしい」という純粋な思いよりも。「早くこの苦しみから解放されたい」という思いの方が強かったです。
「いっその事、もう体外受精でも妊娠の可能性は0ですって言われた方がマシだ」とも思っていました。

とにかく毎日が辛かったのです。

そんな日が続いたある日。夫から「もう子供は無理をしなくてもいいじゃないか」と言われました。

苦しんでいる私を見て、夫が口にした言葉ですが、本心ではないのだろうと思いました。
「本当は子供がほしいと思っているけど、私に気を使って言ってくれているんだ・・」

申し訳ないという気持ちもありましたが、夫の優しさがうれしかったです。
この頃は長い不妊治療に心も体の疲れきっていたので、正直「辞めたい」という思いが強かったのですが、「完全には諦めきれない」という思いもまだありました。

なので、「辞める」のではなく「休む」事にしたのです。
この時はもう36才を過ぎていましたから、この年で治療を「休む」という事は、かなり勇気が要りました。

しかし、もう限界だったのです。
よく不妊治療は先の見えないトンネルのようなもの、と言われますが、実際にその通りだと思いました。
ゴールが見えないから、進むのが辛いんです。私は「妊娠」がゴールだと思っていましたが、この頃から考え方が少しずつ変わっていって、妊娠がゴールじゃなくてもいい、自分が「頑張ったけど、ダメだったんだから仕方ない」と納得できればいい、と思うようになりました。
将来自分が後悔しないために、不妊治療をするんだ、というふうに考え方が変わっていきました。

もちろん、一番は妊娠して子供を生みたい、でもそれだけが人生ではないと・・気づいたというか、もうそういう考え方を受け入れるしかないほど、精神的に追い詰められていたのかもしれません。

とにかく、「一旦は休もう」、と決めたので半年間は「妊娠」「子供」「お金」の事は考えないようにして過ごしました。

なぜお金なのかというと、貯金もある程度はあったのですが、不妊治療でいくら使うかわからないため、なるべく手をつけないようにしていたのです。
でも、半年間だけはそんな事は考えずに好きな事にお金を使う事にしました。

極端な贅沢はしませんでしたが、今まで我慢していた旅行に行ったり、お酒を飲んだりして、とにかくリフレッシュしようと、毎日を楽しむ事にしました。

そしてその半年の間に夫とも、これからの事を話し合い、「40歳までに妊娠できなかったら、不妊治療は諦めよう」という事を決めました。

半年後、再び体外受精を始めました。
この頃の自分の気持ちは以前のように「今度こそ、妊娠できますように!」という切羽詰ったものはありませんでした。

「後悔しないためにやっているんだ」という思いで、あまり深く考えないようにしていました。
そして、治療を再開して一回目の体外受精で妊娠できたのです!

最初、妊娠反応は血液検査でわかったのですが、その陽性の結果をきいた時は、うれしいというよりも、驚きの方が大きかったです。

先生からが心拍の確認がとれるまではまだ、安心できないと言われていたので、心拍の確認ができるまでは、あまり喜んではいけないと自分に言い聞かせていました。
もしダメだったら・・そんな不安ばかりでしたが、数週間後、はっきりと心拍の確認ができました。画像を見ながら、トクトク動く心臓の画像を見た時は涙が出ました。

それからも、不安な日々は続きました。
安定期に入るまでは安心できない、安定期に入っても無事に生まれてきてくれるかどうか・・常に心配ばかりしていました。
不妊治療での妊娠だからこんなに心配になるのかと思っていましたが、妊娠するとみんな「無事に生まれてきてくれるのか」と心配するのが普通なんですよね。

無事に10ヶ月間を過ごして、38歳の時に元気な男の子を出産する事ができました。
年齢的には高齢出産なので、帝王切開になるかもと言われていましたが、無事に普通分娩で生まれました。

子供を生んでみて思うのは、妊活中の時は「妊娠」がゴールだと本当に思っていましたが、妊娠ゴールではなく、始まりなんだ、という事です。

妊娠する事に執着して、がんじがらめになっていた昔の自分を、視野が狭かったな・・と今は思います。
今だから、客観的にそう思えるのですが、あの頃の自分は無理でした。
不妊治療に疲れたら、しばらく休んでみるのもいいと思います。
私は、休んで、ストレスが軽減した事が、今回の妊娠に繋がったのではないかな?と思っています。

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